ゲームプレイヤーの認識的モデリング:合理性の共通知識が後方帰納を導く

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updated: 19 Mar 2006

概要

本システムkglp01 (kglp01.pl. Prolog, 17 Feb 2005) ( source code + input data file ) は完全情報ゲームに対するAumann(1995, 1998)の知識システムのPrologによる モデリングないし実装である。

このシステムでできること・工夫したこと

例題ゲーム3のムカデゲームについて、定理Bの自明なケース、 および非自明なケースを生成できる。工夫により、 比較的長い状態のリストを、バックトラックによって生成 しやすくなった。

なぜこのシステムを作ったのか

AumannがSubstantive RationalityあるいはSubstantive Conditional と呼んでいるのは、どういうことなのだろうか?
表面的に言えば、論理学で言う実質含意(Material Conditional)が 偽の前提の下で自明に真となり、ゲームモデリングと 合理性概念にふさわしくないためである。
訳語はどちちらも、「実質的」とか「実体のある」だが、 ここでの意味合いは「ぎっしり中身の詰まった」という感じだろう。
ゲーム理論で共通知識モデルを論じた多くの文献では、反事実的条件文 (Counterfactual)というように言ってしまうのが普通だったが、 厳密に言えば文法用語の仮定法(Subjunctive)と同様、 前提がリアルである場合が排除される。(英語辞書にも説明が 正しく区別してないものがあります。)
そこでコウモリのような造語になったのだろうかなどと、個人的には 想像している。
いずれにせよ、たとえ前提が偽であっても中身が からっぽじゃない、すなわち「プレイヤーが合理的であるためには、 その戦略組では到達していないはずの頂点についても、それ以降の条件付ペイオフを考え ることができ、それ以降の仮想的最適戦略が選ばれなければならない。」 紙の上ではなかなか理解しにくい。
そこで、シミュレーションにより、 操作的な理解に貢献できればと思ってコードを書いた。